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2005年8 月30日 (火曜日)

多摩川で灯ろう流し:夜の川面彩る光のページェント

05082901多摩水道橋下流の多摩川で8月29日、灯ろう流しが行われた。午後6時半過ぎから屋形船に積んだ約500基の灯ろうが次々と流され、静かな灯が川面を彩ると、訪れた人たちは涼しい風に秋の気配を感じながら、去りゆく夏を惜しむかのようにうっとりと水と光のページェントを楽しんでいた。
灯ろう流しの写真を見る

灯ろう流しは、昨年までは、狛江市などが主催する花火大会と同じ日に開かれてきたが、今年は花火大会が中止されたため、一時は開催が危ぶまれた。しかし、夏の伝統行事の灯を絶やすわけにはいかないと、狛江市仏教会と市民が協力して実行委員会を結成、単独の開催にこぎつけた。

川岸で市内の6カ寺の僧りょが声をそろえて経を読むのに合わせて、故人の戒名などを記した高さ20数cmの紙製の灯ろうをぎっしりと積んで小田急線多摩川鉄橋付近にこぎ出した屋形船から、ろうそくに点火しながら20分ほどの間に次々と川面に流された。
灯ろうは、下流からの風に乗って上流に向かい、静かな川面にろうろくのゆらめきを映しながら漂う光景に、川岸の見物の市民からは「きれいね」というため息まじりの声があちこちから聞かれた。
昨年までは、花火大会に先がけて明るいうちに行われたこともあり、見物客の関心もいまひとつだったが、今回はあたりがすっかり暗くなったなかで催され、より光の美しさがきわだつことになった。
主催者側では「無事に開催できて良かった。来年以降は今後考えるが、もっと多くの人に知ってもらえるようPR方法などを工夫し、伝統の行事をできるだけ続けていきたい」と話している。

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2005年8 月27日 (土曜日)

が後半戦好調なすべり出し:広島に勝ち7位

050827furonnta川崎は8月27日、ホーム等々力に20節終了時点で3位のサンフレチェ広島を迎えて対戦、先取点を奪われたが、絶好調のマルクスのシュートで追いつき手引き分けに持ち込んだ。前節アウェイの横浜Fマリノスにも勝ち、戦績を7位と押し上げ、リーグ後半戦に好調なすべりだしを果たした。

写真=同点のゴールを決めたマルクス(左)を祝福する黒津(右)

暑さの続く8日間での3戦目となる試合は、ゆっくりとしたペースで始まった。川崎Fは、チャンスは作るがリーグ最少失点の広島の堅い守りを崩せず、前半を終了。後半、広島のカウンターを一度はクリアしたが、リスタート後の56分、一瞬スキに広島のFW佐藤寿人に先取点を奪われた。ホームで負けられないは反撃、68分に復帰後絶好調のマルクスが同点のシュートを決め、さらに猛攻撃をかけるが、ゴールを割れず同点にとどまった。
次節は、9月3日に日本平で清水エスパルスと対戦、次のホームは9月11日公式戦で一度も勝ったことのない鹿島アントラーズと対戦する。いずれもキックオフは19時。

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麻生小学校でなつやすみ野外上映会:1200人が名作「スタンド・バイ・ミー」楽しむ

川崎市麻生区の麻生小学校校庭で8月27日夜、なつやすみ野外上映会が開かれ、親子連れなど約1200人の市民が、飲食自由な開放的雰囲気の中でステーブン・キング原作の名作「スタンド・バイ・ミー」(1986年、アメリカ、88分)を楽しんだ。

上映会は、小田急線新百合ヶ丘駅周辺で10月に開催する「しんゆり映画祭」のプレイベントとして川崎市と芸術のまちづくり推進委員会が催す恒例の上映会。「夏休み最後の土曜日に親子で映画を」と麻生区魅力ある区づくり推進事業のひとつに指定され、無料で名作を鑑賞できる機会とあって毎年人気を集めている。
上映に先立ち、昨年東日本吹奏楽大会に初出場して中学校フェスティバル部門で最優秀賞を受賞した柿生中学吹奏楽部60人が渡邊寿子教諭の指揮で「スタンド・バイ・ミー」テーマ曲や「ミス・サイゴン」などを体を動かしながら演奏、盛んに拍手を浴びていた。
演奏前に行われたセレモニーで野々川千恵子実行委員長は「映画祭は11年目を迎え、新たなスタートとして31作品を上映する。今日は、ボランティアスタッフが会場にいろいろな仕掛けをしているので、本番同様充分に楽しんでもらいたい」とあいさつ。この日はどんよりと厚い雲に覆われて雨が心配されたが、なんとか天気が持ちこたえ、主催者をほっとさせた。
会場は、映画祭ボランティアスタッフが、上映作品の背景にちなんで1960年代のアメリカをほうふつさせるダンボールや木製のキャデラックや蒸気機関車、ジュークボックスなどを設置、上映会を盛り上げた真っ赤なキャデラックの中に入って記念撮影する家族連れなどもいた。また、コーラのガラスビンやを色とりどりのペットボトルなどを並べて光の芸術空間を演出、参加者は芸術の街ならではのイベントを満喫した。

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むいから民家園で子どもたちが小川づくり

050827ogawa4泥遊びで小川を作ろう——狛江市元和泉のむいから民家園(市立古民家園)で8月27日、小学生がどろんこになりながら人工の小川作りを体験した。
写真=溝に入れた土を足で踏み固める子どもたち

050827ogawa2小川づくりは、管理職、専門職に従事する女性たちの奉仕団体「国際ソロプチミスト東京ー狛江」から資金提供を受け、園内に子どもが水遊びのできる空間と昔の景観を作り出そうと、同園運営委員らが行っているもの。
同市岩戸南の建築家・吉田清明さんが、長さ約25m、幅30〜40cmの流れの途中に池状の場所を設けた設計図を描き、運営委員やボランティアらが7月から植栽エリアに溝を掘って防水シートをかぶせる事前工事をした。石を積み上げたところからポンプアップした井戸水が流れ出し、底は水が流れるよう高低差をつけたコンクリート張り、両岸は石積みにする工事はプロの造園業者が担当した。
050827ogawa3昔風の小川にする”工事”は、同園の子どもの行事として参加者を募り、8月から10月までに3回催す。
初日のこの日は、吉田さんら6人のおとなが田んぼの土に使われる「新木田土」100袋を水路に入れ、子どもたちが水を入れながらはだしで土を踏み固めた。子どもたちは初めはぬるぬるした土におっかなびっくりだったが、泥遊びのような作業に次第に熱中、2時間がかりで70平方mの水面に土を入れ終え、土を高く盛った池状の場所にトクサ、ホトトギス、クレソン、スイレンなどを植えた。
父親や兄と参加した中澤かずひろ君(小学1年)は「どろの上を歩くのがおもしろかった」とにっこりしていた。
2回目の作業は9月10日午前10時から小川に橋をかける工事や両岸に水生植物などを植える予定。同園では、現在参加者の追加募集を行っている。
問い合わせ・申し込みは電話03(3489)8981むいから民家園。

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2005年8 月25日 (木曜日)

ゆりがおか児童合唱団が8月27日に演奏会

050825yurigaoka1川崎市内麻生区を拠点に活動するゆりがおか児童合唱団(山田榮子代表、甲斐千尋団長)が、8月27日午後4時から麻生市民館(川崎市麻生区万福寺1-5-2、小田急線線百合ケ丘駅下車2分)で29回目の定期演奏会を開く。この演奏会は、20回目の「麻生音楽祭」協賛イベントのひとつにとして催される。
今回は、創立35周年記念として作曲家で世界的に著名なピアニスト高橋悠治さんに委嘱した作品を高橋さん自身のピアノ演奏で初演する。

写真=練習中の高橋悠治さん(右)と子ども

050825yurigaoka2演奏会は4部構成で、団員37人と0Gコーラス「コール・リーリエ」、団員の母親らが出演する。1部はヘンリー・パーセル作曲「Sound the Trumpet」とモーツァルト作曲「Alleluja」ほか。2部は創立25周年委嘱作品の林光作曲「世界のなぞなぞ」、3部は柴田南雄作曲「秋来ぬと」で西陽子さんが箏を演奏しOGや母親有志もステージで歌う。4部は創立35年と著名なモダンダンサー石井かほるさんの指導20年を記念し、高橋悠治さん作曲の「ふしぎな国から」をシアターピース形式で歌う。
「ふしぎな国から」は、「いじめによって死んだ子ども」をテーマにした作品。作曲者の高橋さんによると、詩人の藤井貞和さんが兵庫県で起きた校門で子どもが圧死した事件などを題材に書いた6編の詩を死んだ子どもたちが行く学校という設定にした作品で、演奏時間は約20分。050825yurigaoka3
この作品は、石井さんの依頼で昨年同合唱団の定期演奏会を見て子どもの世界をイメージして3月作曲が完成、5月からは練習に定期的に参加している。例年のシアターピースのようにストーリーが展開する作品とは異なり、魂のありようを扱っているため大きな動きは少なく、座って歌うシーンも多く、合唱の基礎ができていないと歌えないような難しい作品だ。高橋さんは「ことばの意味は、いまよくわからなくても、この歌を歌うことでいつか理解できるときが来る」と笑顔を絶やさず練習に参加している。
同団は、子ども時代にひばり合唱団に所属した山田さんが、地域のこどもの合唱の楽しさを知ってもらいたいと当時住んでいた百合丘団地内の集会所で始めた。設立10年目までは地域の合唱祭に出演する程度だったが徐々に合唱技術が上達。いまは子どもの美しい歌声に注目が集まり、ジョイント出演の依頼やコマーシャル出演、海外演奏も行っており小学校の音楽教科書用に付くCDにも採用されるなど幅広い活動を行っており、母子2代の団員もいる。体を動かしリラックスすることで歌う喜びをもっと味わわせたいと、シアターピース形式やミュージカル仕立てのプログラムを取り入れ、舞台衣装は団員の母親らが手作りして毎年夏に定期奏会を開いている。
こうした活動が評価され、昨年は高津区諏訪で童謡記念館館長で作詞家の小黒恵子さんが設立した「花とライオン児童合唱音楽賞」を受賞、この賞金は今回の委嘱作品の費用として使われた。
石井さんは「これまで動くことで声を出させてきたが、歌声で心や魂の世界を表現できたらすばらしいと思う。今の時代にぴったりの内容なので、聴いている人の心に響くような舞台にしたい」と例年に増して熱い指導をしている。山田さんは「天才的な作曲家と著名なダンサーからいただいた貴重な作品。当日はピアノまで弾いて頂き、団にとってはとても名誉なこと。ぜひ、こどもたちの歌声を聴いてほしい」と話している。
入場は無料だが、すでに入場配布券を配っているため、当日券のみとなる。問い合わせは電話044(953)2696牧野さん。

写真=振りを指導する石井さん(左)、練習中の子どもたち

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2005年8 月21日 (日曜日)

川崎Fが休み明けに勝利:後半戦にはずみ

050821furonnta1約1カ月中断していたJ1リーグが8月20日再開、第19節で川崎はホーム等々力に大分トリニータを迎え対戦、勝ち点3を上げ、後半戦スタートに弾みをつけた。

写真=上・開始3分に先制点をあげ、喜ぶMFマルクス(11)とアシストしたFW黒津選手(24)。下・決勝点となった谷口のヘディング

川崎は、ケガで戦線離脱していたマルクス、我那覇和樹選手らも復帰。中断中の8月3日から1週間北海道でトレーニングキャンプを行い、再開初戦のこの試合にかけていた。中断前の成績は、川崎Fが6勝3分9敗勝ち点21の14位、大分は5勝3分10敗勝ち点18の16位とわずかの差しかなく、下位チームにしっかり勝ちことしの目標の5位以内をめざしたいところ。暑さの厳しい8月後半3連戦の初戦に勝った意味は大きい。
050821furonta2試合は、開始3分に川崎のFW黒津勝がマークされながら中央に上げたボールをMFマルクスが走り込んでシュート、早い時間帯に先制点を奪った。勢いに乗る川崎は攻め続けるが、風下でボールコントロールが難しくなかなか得点に結びつかない。早い時間の失点に落ち着きを取り戻した大分が28分、セットプレーからMF西山哲平のシュートで追いついたが、川崎も37分コーナーキックでマルクスのボールにMF谷口博之がどんぴしゃのヘディングで追加点を決めた。後半は、中盤でのボールの奪い合いが続いた後、互いにチャンスはあったが詰めに欠きゴールを割れないずロスタイムに入り。ここで大分がペナルティエリアで意表をつく攻撃をしかけヒヤリとしたが、FW高松のシュートはポストにあたり事なきを得て、前回(5月8日第11節)のアウエー対戦の負け(1-0)を返した。
関塚監督は試合後の会見で「中断明けで、勝ち点3を取りたいと強い気持ちで臨んだ。選手とサポーターに感謝したい。大分は堅い守りからカウンターで返すので先制点を奪いたいと思っていたが、いい形で狙い通り先制点を取れ勝てた」と語った。
奪った2点とも復帰して調子を上げているマルクスが絡んでおり、成長著しい若手の谷口や黒津で後半戦の活躍が期待できる試合だった。
次節は、8月24日に日産スタジアムで横浜Fマリノスとアウェー対戦、次のホームは27日サンフレチェ広島戦でいずれもキックオフは19時。

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川崎市制記念花火大会:夜空彩る6000発にうっとり

05082007川崎市市制記念多摩川花火大会(川崎市、川崎市観光協会連合会、高津観光協会主催)が8月20日夜、高津区の多摩川二子橋下流河川敷で開かれ、広い河川敷や堤防を埋めた観衆は夜空を彩る約6000発の趣向を凝らした花火に暑さを忘れて見入っていた。
【花火大会の写真を見る】

会場の河川敷には打ち上げの2〜3時間前から浴衣姿の若いカップルや家族連れなどが次々と訪れ、広い河原も人波でびっしりと埋まった。
午後6時30分から大会本部前で行われたオープニングセレモニー「川崎おどり2005」に続いて、7時から菊花園、ファイヤードラゴン、フラワーカーニバル、スペースガーデン、夜空のトパーズ、華火サンバ、ビッグバンなどと名付けられた趣向を凝らした花火のプログラムが約1時間にわたって夏の夜空を彩った。なかには市選挙管理委員会提供の選挙への投票を呼びかける仕掛け花火もあった。

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2005年8 月20日 (土曜日)

川信本店で8月24日から昆虫展

昆虫の面白さを知って——川崎信用金庫本店ふれあい広場側ロビーで8月24日から26日まで「夏休み特別昆虫展」が開かれる。

社会貢献の一貫として川信職員の同好会・昆虫研究会メンバーが手作りで催すもので5回目。会場には国内や海外のクワガタ、カブト虫、生きたチョウの成虫・ 幼虫・さなぎ、スズムシなど鳴く種をそれぞれ透明のケースに入れて展示する。このほか、標本と壁面にはシルクロードのチョウの生態写真などを展示。
また最終日の26日は、先着30人に先着30人にクワガタをプレゼントする。
展示時間は午前9時から午後4時まで。問い合わせは電話044(220)2254川崎信用金庫情報調査部。

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麻生区で8月27日に野外映画会:名作「スタンド・バイ・ミー」を上映

夏休み最後の土曜日に親子で映画を楽しんでと、8月27日の夜、小田急線新百合ケ丘駅近くの麻生小学校校庭で恒例の野外映画会が開かれる。ことしの作品は、少年から青年に変わる一コマを描いたステーブン・キング原作の名作「スタンド・バイ・ミー」(1986年、アメリカ、88分)。また地元の中学校が吹奏楽演奏で参加し、地域に根を下ろした催しとなる。

野外映画は、10月に開く映画ファン待望の「しんゆり映画祭」に先立ち、プレイベントとして川崎市と芸術のまちづくり推進委員会が催す恒例の上映会。6回目のことしも屋台村を設置して「夏の夜祭り」的に食べ物、飲み物も自由な開放的雰囲気で親子で楽しめる作品を鑑賞する。
午後7時からの上映に先立ち、午後6時10分から昨年東日本吹奏楽大会に初出場して中学校フェスティバル部門で最優秀賞を受賞した柿生中学吹奏楽部が「ミス・サイゴン」などを演奏する。
会場は、午後5時から公募区民の団体などによる焼きそばや飲み物、カキ氷などの屋台村が出現、「夏まつり」のムードを盛り上げる。また校庭を作品に併せ「オールディーズ・アメリカ」風に演出して「秘密基地」にみたてたスタンプラリーも催す。
入場は無料で、雨天の場合は同小体育館。問い合わせは電話044(953)7652しんゆり映画祭事務局。

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2005年8 月17日 (水曜日)

宮前区初山で8月16日に閻魔まいり:江戸時代からの伝統行事を復活

050817ennma1江戸時代から続いていた地域の伝統行事を復活させようと8月16日、川崎市宮前区初山で「閻魔(えんま)さま宵参(よいまい)り」が催された。会場の初山十王堂には日暮れから夜9時過ぎまで初山周辺の人など約100人が赤い提灯に照らされた閻魔様や地蔵菩薩に手をあわせ、先祖の人々の信仰に思いをはせていた。

写真/上から=宵参り、念仏講全景、数珠をまわす講中の人、十王堂世話人の矢澤茂さん、
菅生中学の縄田教諭の地獄絵、

050817nennbutu1同じ敷地内にある初山会館では、午後8時前から「初山念仏講」が開かれ、講中の22人が輪になって念仏を唱えた。050817nennbutu2念仏は、1080個からなる約7mほどの長い数珠を全員が持ち、リード役の唱える「南無阿弥陀仏」と鉦(かね)に併せて数珠を回しながら大声で念仏を唱える「百万遍」と、数珠なしでやや小声で唱える「60ズメ」と呼ばれる二種類を唱和した。講長の松井文雄さんによると念仏講は、毎月15日に古くから初山に住む24軒の講中の家で周り持ちで開かれており、8月は閻魔様の日に合わせて1日遅れで同会館で開いているという。

  市内で唯一、地域住民が守る閻魔堂

050817ennma2初山十王堂は川崎市内で唯一、地域の人が守ってきた閻魔堂。中には大きな口を開き宝冠を被った閻魔大王坐像(高さ86㎝・木造寄せ木作り)と地蔵菩薩立像(高さ82㎝・同)が各1体、石像の閻魔像、脱衣婆像など12体(高さ25.8㎝から33.5㎝)計13仏がまつられている。仏教では生前の行いを審判する10人の王がおり、そのちのひとり閻魔王は地蔵菩薩と同一とされている。
先祖代々十王堂を守ってきた世話人代表の矢澤茂さん(49)の家には、閻魔像の造立と修復などを記した版木が残されている。それによると元禄年間(1688〜1704)に下菅生村を治めていた旗本が造立、幕府直轄となった明和年間(1764〜1772)に大破し、十王堂を信仰していた地元の村人が天保15(1844)年に再建、3日間に渡って入仏供養を行ったと書き記している。
茂さんの伯父に当たる矢澤晃さんに(74)によると、戦前は初山の多くの人が8月16日に閻魔様におまいりしたが、時代が下がるとともに同所奥にある墓地に来る人や念仏講など限られた人々だけがまいるようになったになったという。1968年に隣接地にある集会所「初山会館」が火災に遭ったが、堂の前にある2本のイチョウに守られ類焼を逃れた。050817ennma3
その後、木像2体は塗りが剥落(はくらく)するなどいたみがひどくなり、世話人で話し合いを行って天保の供養から160年目にあたる2003年に修復した。これを機会に、矢澤さんらは、300年以上の歴史を持つ十王堂の存在を地域に再認識してもらおうと閻魔詣りの8月16日に開眼供養を行い、修復記録や十王堂の歴史などを掲載した「蘇る十王堂」を発行、宵詣りを再開した。また、子どもにも閻魔様の意義が理解できるようにと、PTA会長だった縁で知り合った菅生中学美術家教師縄田芳信教諭に絵を依頼、閻魔王の地獄審判の様子と子どもを救済する地蔵菩薩の世界の2作品ができあがった。2.3m、幅1.8mのキャンパス地描かれた絵は、毎年宵詣りに敷地内に飾られている。
世話人らは、赤米の「御洗米」を用意、参詣者に配った。矢澤さんは「先祖から伝わったことを次の世代に残していくのが我々のつとめ。宗教行事と重く考えるのではなく、きれいになった像を見てもらうことで少しずつ浸透していけばうれしい」と静かに語っていた。

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