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2010年12 月24日 (金曜日)
川崎市麻生区で万福寺人参の品評会&試食会 : 半世紀前の特産品の普及目指す
川崎市麻生区内の地名が付いたゴボウのように長いニンジンの出来映えと試食を行う「第11回 万福寺人参品評会&試食会」が、12月23日に麻生市民館で催され、家庭菜園愛好家など約50人が参加した。
写真=審査風景
万福寺人参は半世紀以上前の1954年から5年間にわたり全国農林産物品評会で日本1に輝いたかつての特産品。「万福寺鮮紅大長人参」と名づけられ万福寺とその周辺で生産、種を採取する生産組合もあり全国に出荷していたが、生産地の宅地開発化と栽培が楽な短いニンジンの普及で耕作地が減少し、一時は「幻のニンジン」と称されることもあった。
品協会&試食会は、このニンジンを復活して普及させようと発足した市民団体「万福寺人参友の会」と里山フォーラムin麻生、麻生市民館、麻生区役所が催しもの。今回は、里地里山ナチュラリスト入門講座の一環として実施され、品評会前に「神奈川の在来野菜について」と題し、審査員を務めた元神奈川県農業技術センター職員で野菜ソムリエの成松治郎さんが、万福寺人参のほか菅のノラボウ菜や三浦大根など地名などが付いた県内の在来野菜について解説を行った。
ことしは、猛暑の影響で発芽や生育がうまくいかなかった人もおり、毎年のように出品していた人の辞退もあったが、プロ農家、万福寺人参友の会会員、金程小学校2年生の児童などが15人が出品、31cmから77cmに生育したニンジンが机の上に一斉に並べられた。品評会では、農業研究家・飯草幸雄さん、成松さん、麻生市民館長の小金井武春、万福寺人参友の会会長の高橋清行さんの5人が、ニンジンを手にとり、薄く切った人参を食べたりしながら、一時間かがりで形や色、香りなどを比較審査。最優秀賞は井上清士さん、味覚賞は梶武男さん、香り賞は岡本剛介さん、姿 (ルックス)賞は黒川の体験型農園「タイガーファーム」、色彩賞は井上いづみさん、努力賞は蛭田優さん、高橋精巧さんを選び、表彰賞を手渡した。
初出品で姿賞を受賞したタイガー・ファームの吉沢豊夫さんは「初めて作って賞をもらってとてもうれしい。農園のメンバーから万福寺人参の話を聞き、10家族で協力して作ろうと、1柵分(約15m)にあたる畑を約1m掘ったのが一番大変でした。おいしいニンジンなので来年もチャレンジしたい」と笑顔で話した。
審査後は、井上清士さんが提供したニンジンを使った料理を食べながらの恒例の試食会と交流会が開かれた。麻生区役所保健福祉センターで健康作りのための料理講習を行っているボランティアグループ「麻生ヘルスメイト(食生活改善推進連絡協議会)」が、スモークチキンとニンジンのサラダ、ニンジンの味噌バター炒めなどを調理。また、例年料理を担当する友の会会員の宮河悦子さんらがきんびら、ニンジン葉入りタルタルソース添えのフライ、けんちん汁などのほか、素揚げや蒸すだけなど手素揚げや蒸すだけなど素材をいたした料理や生で他品種のニンジンと食べ比べるメニューを作った。参加者たちは「ニンジンの味と香りがしっかりしている」となごやかに談笑しながら味わっていた。
最優秀賞の井上さんは農業を営んでおり、このニンジンの数少ない生産者のひとり。毎年、年末から新年にかけて万福寺人参を販売する。ことしは、最後の直売日の12月29日に新百合ヶ丘直売所(麻生区役所駐車場隣り)などで販売する予定。
2010-12-24 in 02)イベント・催事, 09)市民活動, b) 川崎市のニュース, b1) 川崎市麻生区, 食 | Permalink