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2008年5 月26日 (月曜日)

川崎市多摩区菅の三沢川に県治水事務所が昇降装置:非常時に可搬ポンプ下ろし、川の水で放水

080524syokosouti01 火災時には川の水を使って消火活動を——神奈川県川崎治水事務所が川崎市多摩区菅2丁目の新三沢橋上流に河川管理用のほか災害時には地元消防団が所有する小型可搬ポンプを載せられる昇降装置を設置。地元の菅町会(原島小賀子会長)が5月24日、現地でお披露目のセレモニーを開き、消防団員らが模範放水を行い完成を祝った。

写真=三沢川に取り付けられた昇降装置で菅地区の消防団員が放水、川の護岸に取り付けられた昇降装置、昇降装置のデッキに乗せた可搬ポンプをひもで固定する消防団員、セレモニーであいさつする原島町会長、ワイヤーを動かすハンドル

080524sugesyokoki03_2川崎市内で初めて設置されたこの昇降装置は、三沢側左岸の新三沢橋と菅小学校の中間付近の護岸に幅1.96m、奥行き1.10mの鋼板デッキ状の荷台にワイヤーを取り付け手動滑車で上下に動かす方式で、約5m下の川底に可搬ポンプを載せて運ぶ。また、川底には1m×1.5m、深さ50cmのコンクリート製のピットを埋め込み、水かさが少ない時でも可搬ポンプのホースを土のうで押さえて取水できる仕組みも造られた。積載能力は約100kgで、総工費は450万円。小型可搬ポンプ1台の放水量は毎分約400リットルで、複数の可搬ポンプを動かし取水することも可能だ。
080524sugesyokoki04_2 装置は通常カギが付けられており、滑車を動かすハンドルとカギを町会に貸し出し、火災時には消防団員が昇降装置利用して川の水を使って放水し消火活動にあたる。
080524sugesyokoki02_2 午前11時から開かれたセレモニーには、町会役員のほか皆川敏明多摩区長、山口高広多摩消防署長、地元選出議員ら出席。原島会長は「菅町会はわが町を自分たちで守ろうと防災に力を入れており、可搬ポンプを積んだ車で役員らが常時パトロールしている。今回、治水事務所に昇降装置を設置してもらい、災害に強いまちとして誇れるようになった。今後は地元消防団員が訓練を重ね、災害時に備える」と感謝の言葉を述べた。皆川多摩区長は「災害時に消防署とスクラムを組んで対応してもらえるのは心強い」と喜んでおり、山口消防署長は「(災害が起きず)活用されないことを願うが、有事の水の確保としてとても有効」と話した。
080524sugesyokoki05 同治水事務所によると、三沢川は10年に1度くらいの降雨量の時間当たり70ミリに対応できる河川改修が完了し、2006年度から地元の菅町会と話し合いを重ねて自然の復元と親水化をテーマに再整備事業に着手している。そうしたなかで、防災に力を入れる町会から「水道や電気がとまる大災害発生時に多摩川以外の自然水の確保として町の中央を流れる三沢川にその役割を持たせるたい」との要望があがり両者で検討した結果、今回の昇降設備の設置が実現、5月16日に昇降装置利用についての覚え書きをかわした。昇降装置は、川に捨てられた自転車などの粗大ゴミを引き上げる河川管理用としての利用が本来の目的で、道路から川の水面まで高低差が大きいこの場所が選ばれた。

2008-05-26 | Permalink

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