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2007年10 月 8日 (月曜日)

川崎市麻生区黒川で里山再生作戦:人海戦術で山林の粗大ゴミを回収

071007gomi01 川崎市麻生区黒川で10月7日、大量の粗大ゴミで汚された里山を再生するため、市道約400mを一時通行止めにして市民と川崎市職員など100人余りが山林に捨てられた家電製品やマットレスなどの粗大ゴミ、オートバイ、自転車、古タイヤなどを回収する大がかりな清掃作戦が行われた。

071007gomi03 この作業は、川崎市が「美しく住みよいふるさと川崎」を目指し市内全域で行う統一美化活動の「黒川地区版」として実施されたもの。地元の黒川町内会、はるひ野管理組合の役員と地権者約30人、区内などの造園業者8人と環境局緑政部・生活環境部約60人、経済局農政課5人、麻生区役所10人、麻生区建設センター5人の各職員が、約1.8mの市道わきの山林の斜面に投棄されたゴミを人海戦術で回収した。現場は急な傾斜の所も多く、道も狭いため大型の機械は使えず、人が入って大型のものはロープで引き上げたり、小型のゴミはプラスチックの衣装ケースに詰めて運び出した。
付近は雑木林が生い茂る市内でも有数の自然が豊かに残るところだが、地表は捨てられたゴミが覆い産業廃棄物処分場さながら。参加者たちは汗びっしょりになりながら、3時間余りをかけてていねいに拾い集め、道路に引き上げた。車1台通るのがやっとの山道のため、市の2トン積みゴミ収集車5台、小型と中型の粗大ゴミ収集車6台のほか、造園業者の小型クレーン車3台などを使い、清掃工場までピストン輸送した。回収量は可燃系ゴミ約6トン、粗大ゴミが12トン、その他で合計約19トン。
071007gomi02 参加者たちは、回収したゴミの山に「こんなに大量にあるとは」と改めて驚き、捨てた人への怒りを新たにするとともに「大切な自然を二度と壊さないようにしなければ」と話していた。
地権者によると、都県境に近い同地区では10数年前から粗大ゴミの不法投棄が始まり、約10年前に一度ゴミを撤去した地主もいたが、その後も悪質な産廃業者が捨てたと推察されるゴミは増え続けた。捨てる人が特定できないため、不法投棄禁止の看板を設置する程度で、抜本的な対策が立てられず苦慮していた。地元からの声を受けて2年前に麻生区建設センターが大型車両が入れないよう車止めのクイを設けてからは不法投棄が減ったという。
周辺は農業振興地域で、「農のある風景を残す」重点地区のひとつとなっていた。こうしたことから環境局では、農地と山林が一体となった里地と里山として残すために、現場を含む約3.2haを特別緑地保全地区に指定する予定で、不法投棄のゴミを放置しておけなくなった。本来なら、投棄したゴミを回収するのは捨てた者が行い、費用を負担するのが原則で、自治体が回収することはない。しかし、そのままにはしておくと、自然への影響が心配されるため、環境局緑政部を中心に特別にプロジェクトチームをつくり、4カ月がかりで準備を進めてきた。造園業者にボランティアで応援を依頼、草刈りをしてもらい、建設機械の出動を頼むなど、官民一体となった回収作戦を実施した。
黒川町内会の川端求会長は「道路脇に草が生えていたのでこんなにたくさんゴミが捨てられているとは思わず、びっくりしました。黒川では、昔から『道普請』といって地元民が山道を守ってきたが、とてもわたしたちだけではやれなかったと思う。今回は市役所や造園業からもたくさんの人に来てもらって、ほんとうにきれいになった。2度とゴミが捨てられないように願っています」とほっとした表情で話していた。

2007-10-08 in 01) 自然・環境, 08)経済・農業, 09)市民活動, 11)まちづくり, b) 川崎市のニュース, b1) 川崎市麻生区 | Permalink

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