新潟県中越地震の震源地に近い川口町とふるさと友好都市を結び、防災協定を締結する狛江市は、地震直後からさまさまな支援活動を行っている。狛江市議会を代表して11月17日、契約公用車を利用して日帰り強行軍でお見舞いと視察に訪れた鈴木悦夫副議長に現地レポートを寄せていただきました。
写真上=1mほどの段差ができたホテル蒼丘近くの道路を視察中の鈴木副議長(写真提供=鈴木副議長)
◆川口町を訪問して
狛江市議会議員副議長 鈴木えつお
私は11月17日、白井議長とともに川口町を訪問、星野町長に狛江市議会の義援金50万円の目録を届けてきました。
星野町長に短時間お会いすることができ、星野町長は、「狛江のみなさんには、いち早く駆けつけていただき、ほんとうに感謝しています。みなさんに、よろしくお伝えください」とおっしゃっていました。
現地の様子ですが、延長10kmもある関越トンネルを抜けて川口町の隣の堀之内町に入ると、高速道路も補修した部分が多く、路面が波打っている状況で、周囲には倒れた墓石やブルーシートのかかった家がそこここに見えてきました。越後川口のインター出口のサービスエリアはまだ本格的に再開されておらず、サンドイッチやおにぎり、お菓子など程度しか置いてありませんでした。インターを降りて川口町役場に向かういつもの道は、通行止めで別の迂回路を通って役場に向かいました。途中東京土建狛江支部の車とすれ違い、土建の人たちも救援に来ているのだなと思いました。
役場の前は、自衛隊や報道陣、各自治体の支援の車でいっぱいでした。その一角にプレハブの川口町災害対策本部があり、その隣に狛江市の災害対策本部のテントがありました。狛江市のテントでは、東北地方の桑折町、種市町、三春町の職員も一緒に活動していました。
案内されて町役場の中に入りましたが、地震直後のテレビの映像とは違って、それなりに整理整頓され他県からの応援の職員も含め業務が行われていました。そこで川口町の議長・副議長にお会いできお話を伺いましたが、議長の話では、「最初ドーンと突き上げるような揺れがきて、これは自動車が家にぶつかったかなと思った」とのことで、その後の大きな横揺れで蛍光灯がゆれて天井にぶつかったとのことです。
また田んぼは2/3が水路が寸断され耕作できない状況になっており、水道・電気はかなり復旧したが、ガスはまだ使えない、家が全壊・半壊した方々約300世帯から仮設住宅への申し込みがあり、12月はじめには完成予定とのことでした。議長さんは、「11月末ごろから雪が降り出し、平年で1〜2m、ひどいときには3mも積もることがあるのでこれからが大変」「これまでも若い人がなかなか町に定住せず、10年で500人減っているが、今度の地震でまた町を離れる人が多くなるのではと心配している」と語っていました。
次に地震直後一時孤立したという山間の木沢地区の避難場所を訪問しました。
途中の道路の両側には、全壊した家が数多く見られました。また狛江市の救援隊が車を降りて天秤棒で救援物資担いで運んだという、崩れた道路のそばを通りましたが、アスファルトの舗装がポテトチップのようにちぎれて谷側に20〜30mずれ落ちていました。
廃校になったという学校が避難場所になっていて、その地区の代表というおじいちゃんは「この年になってこんな目にあうなんて」と涙ぐんでいました。奥さんの話では、体育館では寒いので昨日から教室に入れるようになり少し暖かくなったとのことで、「今はお医者さんがきてくれるけど、これから雪が降ってこれなくなったら困る」「自宅は入り口が崩れてしまって入れない。春になったら入り口を建て直して、奥も修理して家に戻ろうと計画している」とのことでした。また別の男性の方は山の方を見て、「向こうの山にこの間雪が降ったが、ここももうすぐ雪が降る。仮設住宅を早くたててほしい」と語っていました。
最後に、狛江市民もよく使わせてもらう宿泊施設「ホテル蒼丘(旧サンローラ川口)」の近くを見て回りました。ホテルは立ち入り禁止となっており、その近くに地震で断層が動いたと思われる場所がたくさんありました。
道路の一部は1m位の段差ができ、狛江の少年野球チームも使わせてもらったという野球場のネットや照明施設がなぎ倒されていました。近くに住む松岡さんという絵本画家の方が家の中を見せてくれましたが、松岡さんが書いた絵の絵本や家財道具などが散乱し足の踏み場もない状況でした。奥さんの話では、「地震発生のときは夕食時で台所にいましたが、大きな揺れで冷蔵庫が動いて一時40cm四方くらいの所にはさまれてしまいました。電気が消えて真っ暗な中、外に出ようとしたけれど台所のドアは開かず、手探りで玄関まで行ってようやく外に出ました」とのことでした。外を見ると土台のコンクリートに亀裂が入り10cmくらいずれていました。
現地の状況はものすごい揺れがあったことを物語っています。
帰る道々、狛江でこれだけの地震があったらどうなるか、ということを考えました。
川口町では幸いにも火事が出ませんでしたが、狛江では家が密集しており、もし火事が出たら燃え広がって大きな被害が出ると思います。よく地震の時は、まずテーブルの下などに身を隠して安全を確保すること、次に急いで火を消すことといいますが、それを本当に実感しました。
川口町の被災者の生活が早く再建できるよう願うとともに、今後狛江市として、この震災から何を教訓として導き出し、行政と住民はどういう対策をとるべきか、考えていきたいと思います。
写真中=アスファルトが谷側に落ちた木沢地区への道路(写真提供、鈴木副議長)
写真下=建設中の仮設住宅(写真提供、鈴木副議長)
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