新潟県中越地震の震源地に近い川口町とふるさと友好都市を結び、防災協定を締結する狛江市は、地震直後からさまさまな支援活動を行っている。再開した川口町役場に11月2日、お見舞いと視察に訪れた狛江市長の矢野裕さんに現地レポートを寄せていただきました。
写真=被災地を視察する矢野さん(右から2番目)
11月2日朝7時に出て、新潟県川口町へお見舞いと激励に行ってきました。翌日公務が入っているため日帰りの強行軍となりましたが、被害の大きさと災害対策の困難さを目の当たりにしてきました。
お昼前には川口町内に入り、すぐに市民から寄せられた義援金の一部500万円、職員の拠出分100万円を、町役場で星野町長に手渡しました。町長は「被災直後からの、狛江の皆さんのご支援は本当にありがたい。心から感謝しています」とお話し下さいました。これまで役場の災害対策本部はテントの中でしたが、1日から小さなプレハブが建ち、ようやくそこで指揮をとれるようになりました。それでもひっきりなしに見舞いや激励で訪れる方々が続き、食事もままならない様子で、内山助役も「被災直後から今まで、役場から離れたのは2回だけ」というほど、日々の対応に追われています。
1日からの業務再開のため、狛江や他の自治体職員が前日まで掃除と整理でがんばった役場内を拝見し、また支援に入っている各自治体、地元消防団等への挨拶後、被災地をまわりました。魚野川河川敷で避難生活をしている西川口では、今では自衛隊のテントが立ち並び、風呂も提供されていますが、それ以前に狛江市の第1次隊が仮設トイレを設置し、第2次支援隊がテントとブルーシートで居場所づくりしたことに大変感謝いただいており、私が寄った時は地区の方々を集め挨拶をさせて下さいました。
次に寄った木沢地区でも挨拶の機会をいただきましたが、ここは山あいにあり、道路が崩落したり土砂で埋まったりしましたが、自力で道を開いたそうです。被災住民の皆さんは、いずれも地区長のもと団結し、不安と疲労の毎日の中、お互い助け合い支えあっていることがよく感じられました。日頃の地域の絆があったからこそ、ここまでがんばることが出来ているのでしょう。
次に、川口町の町営ホテルや温泉など保養施設を見ましたが、建物などにも被害が出ており、地面は至るところ亀裂が走っていました。川口町はこの一帯にスポーツ・レクリエーション施設を取り込み、町外からの集客を図っていた施設ですので、一日も早く再開できることを心から祈っています。
支援物資は充分で、倉庫などに山積みでした。各地域にも充分行き渡っているようでした。したがって現地で求めていないものは搬送しても保管に困りますし、要るものは刻々と変わるので、これから物資を送る方は事前に現地へ必要性を確認して下さい。被災者は、地区ごとに連帯し助け合ってがんばっていますが、疲労も見え、風邪も流行り出しています。被災者の精神的なケアとともに、もう1か月もすると雪が積もり出すので、いま一番必要なのは仮設住宅です。これは一市町村レベルでは到底対応できないので、国や県が急ぎ設置するよう願っています。また余震が収まれば家に帰れる人にとっては、後片付けが大仕事です。高齢世帯が多くを占めているので、ここにも人出を必要としています。
狛江市ではこれからの支援策を検討していますが、支援に入った自治体の受付・調整役、並びに搬送部隊を引き続き受け持っていきます。私の感じでは、後片付けのお手伝いと、もし体育館など避難所で冬を越す方が多ければ、避難所運営やそこでの生活環境の改善なども、今後必要になると思います。大きな余震が収まるようなら、市民の皆さんにも協力をお願いすることになるかも知れません。
これが川口で見たこと、感じたことですが、さらにこの10日間の支援活動を振り返ってみますと、1番強く印象にあるのは、川口町との17年にものぼる交流が、狛江にしっかりと根づいていたことです。被災翌日、直ちに川口へ行って欲しいとの要請を受けた職員は、全員二つ返事で応じてくれました。今でも支援活動への参加を希望する職員は大勢います。市消防団もいち早く駆けつけ、もっとも困難な第1次隊に参加してくれました。残った市職員は、部ごとに行動日を決め、関係する市民団体と一緒に市内関連3駅で災害義援金を呼びかけました。市民も、職員も、我がことのように川口町への支援活動に立ち上がり、一所懸命行動している姿は、交流の深さを物語っているように感じました。
また川口町への支援は、わが狛江にとっても、たくさんの教訓をいただきました。もし大地震が狛江で起こったとしたら、従来の防災計画では何が足りないのか見えてきた部分もあります。被災現場を実際に見た60人ほどの派遣市職員、10人の市消防団員、そして派遣準備にあたった職員たちが、様ざまな問題意識を共有したことも、狛江のいざという時、大きな力になっていくと確信しています。
川口町の皆さんには、大変なご苦労が続いていますが、負けずにがんばっていただきたいと願っています。狛江市と狛江市民は、川口町が復興し、さらにすばらしい町として前進することを心から期待しておりますし、そのためにこれからも一緒に歩んでいきます。
コメント