新潟県中越地震で全村民避難という大きな被害を受けた新潟県古志郡山古志村の復興支援をと、同村を舞台としたドキュメンタリー映画「掘るまいか 手堀り中山隧道(なかやまずいどう)の記録」(16ミリ、83分)の制作や上映に係わった川崎市民らが、11月27日と28日に川崎市内の2カ所で映画の緊急上映会を開催する。
写真=映画「掘るまいか 手堀り中山隧道の記録」より
上映は27日が小田急線新百合ヶ丘駅前の日本映画学校、28日が中原区の川崎市民ミュージアムで、いずれも時間は午後1時30分から。上映はすべてボランティアで運営し、参加協力費1000円と会場で集める義援金をすべて山古志村に寄付する。
KAWASAKIしんゆり映画祭実行委員会が主催、市民ミュージアムが共催、日本映画学校・掘るまいか上映推進委員会が協力する。
トンネルがある山古志村小松倉は新潟県内でも有数の豪雪地帯で、かつて冬は7、8メートルの雪が積もって陸の孤島となり、商店や医療機関もなく、病人が出ると村人は険しい峠道を越えて隣村まで歩き、吹雪の時は死者も出るほどだった。こうした状況を改善しようと、1933年から行政の援助もないまま農閑期に集落の農民らが交替でトンネルを掘り始めた。途中意見が対立して集落が二分したこともあり、戦争中には一時中断、戦後の1947年に集落が一致団結して掘り進み、1949年に完成した。完成後、約50年間村人の生活を支え、車が通行できる新トンネルが完成した1988年に閉鎖された。
村人たちは、使われなくなったトンネルを村の文化財として記録を残そうと全国各地から隧道文化基金を作り、制作を日本映画学校に依頼した。同校顧問で映画祭初代実行委員長の武重邦夫さんが制作を担当、映画祭運営委員で日本映画学校講師の橋本信一さんが監督し、同校卒業生や映画祭スタッフがさまざまな形で協力・参加し、5年がかりで2003年2月に完成させた。
映画は「昭和の青の洞門」ともいわれる全長922mの日本最長の手掘りトンネル「中山隧道」が完成するまでを、当時の関係者のインタビューに加え、トンネル掘りの様子や話し合いの様子などをドラマで再現、昭和の山村の記録としての価値も高い。平成15年度文化庁文化記録映画優秀賞、新潟日報文化賞などを受賞した。
ドキュメンタリー特集をした昨年の映画祭最終日にこの映画を上映。当日は長島忠美村長をはじめ映画に登場した小川八一郎さんがゲストとして参加し、他の村民も新米や特産品を持って訪れた。
こうしたことから、同祭実行委では、山古志村の被災に心を痛め、一日も早い復興のために「がんばれ!山古志新潟県中越地震災害復興支援上映会」を企画、参加者に義援金の協力を呼びかけることにした。
当日は、映画制作スタッフによる山古志村の現況報告とデジタルハードディスクによる映画を上映する。28日は市民ミュージアムガイダンスルームで、子ども向きに短縮された「ボクの村のトンネル」(40分)の無料上映も午後2時と3時に行われる。
義援金の振込先は 掘るまいか山古志救援基金 郵便振替口座00170-9-482143。
問い合わせは電話044(953)7652KAWASAKIしんゆり映画祭事務局。
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