ピアノを心から愛し、ピアノという楽器のために、数々の名曲を残したショパン(1810年3月1日—1849年10月17日 ※生年月日は諸説あり)はまるで魔法にかけられたかのように、次から次へと移り変わる美しいメロディー、やり切れなさと儚(はかな)さが混合する色彩。ショパンの音楽の美しさを言葉で表現するのは、難しいけれど、一言で表現するなら、やはり「美しい」と言うしかない……。
一方、ショパンと1歳違いのリスト(1811年10月22日—1886年7月31日)は、ピアノの持つ魅力や可能性を最大限に引き出し、ピア二スト泣かせの超絶技巧作品を書いた。ショパンの作品のほとんどがピアノ独奏曲であるのに対し、リストは管弦楽の作品、「交響詩」の名付け親としても有名である。
若いころからの恋愛遍歴は有名な話であるが、50歳で自ら僧侶の道に入り、晩年は意外にも宗教音楽の作曲に時間を費やした。それは「メフィスト・ワルツ」のように、華やかさと高度なテクニックを要求される作品が多い中、知る人ぞ知る名曲「孤独の中の神の祝福」を聴いていると素直にうなずける。
一時ゲーテやバイロンの詩に傾倒したという、彼の哲学や内面性はどの作品に表れているのだろうか……。個人的には超絶技巧よりもこちらのほうが興味深い。
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