つい先日のこと、電車の隣の席で男の子がゲームをしていた。はじめは音を出さずに画面でゲームを楽しんでいたのだが、「ねえお父さん、音を出したいよー。だって音がないとこのゲームはつまんないよ」と言い出した。お父さんはちょっと困ったような顔をしたが、周りを見回し「じゃあ、小さな音だよ」と言って許した。
途端に「ピュー。ポコ。ポニョ。ボソ。」奇妙な音の連発。「何人死んだ?」「まだ4人」「あっ、今だよ。今」私は驚いた。
「えっなにー。なんという会話。もしかしてゲームは殺し合いのゲーム?」横を見ちゃーいけないと思いつつも、ついに父親の顔を見てしまった。品の良い端正な顔立ち。コートを折り目正しく着こなしている。しかしその目線は子どものゲーム機に一直線。「 はあー。これって親子のコミュニケーション?」
今のゲームに詳しくない私だがちょっと前のゲームは知っている。たしか、スパーマリオやファイナルファンタジーが流行っていたと思う。実は、小学生の教科書にもファイナルファンタジーのゲームの曲が掲載されていて、私は授業で子ども達と一緒に演奏することもある。
ロマンテイックな曲やファンタジックな曲が多かったと記憶しているが。
時代は変わったのだなーと思った。
次から次にめまぐるしく変わる社会。産業、文化、化学や科学の発展に矛先を向け、自分達の利益追求に手段を選ばず商魂だけがお化けのように大きく膨らんでいく社会。この効果音のような音の連続ゲームは、ゲーム音楽を追究していく過程で生まれた新音楽なのか?
画面から命が失われていく瞬間音が「ピュー。ポコ。ポニョ。ボソ。」で表現されるとは。
寂しい時代を迎えたナーという一言しか残らない。
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