ロマン派の巨匠ブラームスは音楽家としてだけでなく、親しい友人との時間や交友を大切にした、人をこよなく愛する作曲家だった。心の病から投身自殺を図り、最期まで入院生活送った大作曲家、ロベルト・シューマンの妻、クララ・シューマンを「友人」として一生涯支え続けた話はあまりにも有名である。
「4つの交響曲」や「ドイツレクイエム」など、大作のイメージが強いブラームスだが、誰でも楽しめる歌曲や合唱曲、ドイツ民謡の編曲などもたくさん残している。家族や友人が集まってピアノを囲みながら音楽を楽しむという、本来あるべき「音楽との触れ合い方」を望んでいた大作曲家の姿が目に浮かぶようだ。
一方、「3大バレエ音楽」で有名な作曲家、チャイコフスキーは、幼少の頃より内気な性格で、27歳の時初演された「白鳥の湖」は大失敗、酷評にひどく傷つき、その後10年間はバレエ音楽を作曲しなかった。当時は、楽器の種類も多くなかったため、少人数で演奏を楽しんでおり、音楽会では「演奏される曲」を分かっている作曲家自身が指揮をするのが普通だったが、チャイコフスキーのように内気で、人付き合いが苦手な音楽家にとっては、大変なことだったようです。
人生の最期まで恋愛や、仕事上の人間関係で悩まされた感受性の強い、大作曲家は「第6交響曲」の初演後急死する。この作品につけられた「悲愴」というタイトルは、弟がつけたもので、友人でもあったリムスキー・コルサコフには「表題は誰にも明かしたくない」と語っていたそうである。
ほぼ同時期に生まれた、誕生日が同じ二人の大作曲家、音楽を通して訴えてくるものは、同じなのだろうか・・・それとも何か違うのだろうか?是非一度、ゆっくり聴いてみたい。
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