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2018年6 月29日 (金曜日)

狛江市のセクハラ防止条例制定:特別職も対象に 明政ク、公明などの議員提案で

180628harassment-3狛江市議会第2回定例会最終日の6月28日、議員提案の「狛江市職員のハラスメントの防止等に関する条例」を自由民主党・明政クラブ、公明党、無会派3人の賛成多数で可決した。
6月4日に辞職した高橋都彦前市長のセクハラ問題の際、同市の「狛江市職員のハラスメントの防止に関する規則」は市長などの特別職や市議会議員が対象になっていないなどの問題点が明らかになったのを受け、山田たくじ議員(無会派)の呼びかけで自民・明政ク、公明などが4月から策定作業を行ってきたもので、条例には対象を特別職に拡大するとともに、第三者委員会の設置や調査結果の公表などを盛り込んだ。これに対し、セクハラ問題を追求してきた共産党、生活者ネットワークなどは女性議員を中心に、条例案は被害者の立場に立っておらず審議も十分とは言えない、市民の意見も聴かず拙速に過ぎるなどとして反対していた。 

写真=本会議での採決

同市には2013年2月に制定された「狛江市職員のハラスメントの防止に関する規則」と、運用のための「狛江市職員ハラスメント指針」があったが、再任用・嘱託・臨時職員を含む一般職員が対象で、特別職や議員は含まれていなかった。そのため、高橋市長からセクハラを受けたとの相談が複数の職員から寄せられていながら、調査は行えず、疑惑や真相解明に時間を要する結果となった。
条例案は、セクハラ問題が明らかになった3月の第1回定例市議会終了後に、山田議員の呼びかけで前市長を支えてきた議員を中心に協議を重ね、6月12日に自民・明政クや公明の幹事長と無会派3人の連名で市議会に共同提案された。
条例案は13条からなり、対象に市長などの特別職や議員が含むほか、規則では職員のみで構成していたハラスメント苦情処理処理委員5人のうち、外部の有識者3人を入れることにした。また、ハラスメントの事実が確認された場合、職員は懲戒処分、市長など特別職と議員は、その内容を公表することができるほか、相談件数を年1回公表することなどが盛り込まれた。
条例案の提案後、山田議員ら提案者は他会派から一部の修正や追加について受け付ける姿勢を示したものの、委員会への付託を省略して本会議で審議を行い、通常の条例制定で行われる一般市民から意見を聴くパブリックコメントも受け付けなかった。
この日の本会議では、共同提案者代表の山田議員が「3月議会の時点で前市長をめぐる問題はハラスメントとして報じられたが、その時点で類似案件の再発防止のため条例化が必須だと、共同提案をした議員は表明してきた。今回の件をきっかけに、全国的にも先進的で明確なハラスメント再発防止策を議会で提示していくことが、私たちに課された責任と考える。具体策として市役所内の規則を条例に格上げすることで外の目に触れやすくし、市長や特別職、議員も対象に含め、市長や議員が関係するハラスメント案件に関しては、より公正中立な外部の有識者の調査・審議を実現することが欠かせない。条例を時間をかけて作るべきとの声や、被害に遭われた方への配慮、回復への手立てや支援を含むべきとの意見もあったが、条例が万能であることはあり得ず、まず制定して心の改革を進めなければならない。6月議会で制定し、来月新しい市長が決まる前に条例を定めることが、新生狛江を内外に示す最善のタイミング。ハラスメントは多岐にわたるので、条例も一度制定して終わることなく、国の法整備や世界の動きに配慮して施行後3年以内に見直しを行うことを付け加えた」と提案理由を説明した。
これに対し共産党など他会派の議員は一連の手続きが乱暴過ぎるとして反発、「なぜ一部の議員や会派だけで検討してきたのか」「3月議会で真相解明のため百条委員会設置を求めたが、議題にも載せず否決、まず真相究明が必要」「被害にあった方への配慮や視点がない」「専門的知見がなく、誰のための、なんのための条例かわかりにくい」「提案者らは疑惑が浮上してからも前市長を支えてきた。これにより問題の解決が遅れた。条例より先に被害に遭った女性職員と市民への謝罪をすべき」「市民参加のひとつであるパブリックコメントは必要」「指針にはマタハラやモラハラも記されているが、条例ではその他のハラスメントとしてあり、指針より後退している感が否めない」「加害者が市長などの場合は公表できると書かれているが、誰の権限で公表できるかはっきりさせないと公表されないこともありうる」などの批判や意見が相次いだ。
質疑は休憩を挟んで8時間にも及んだが、両者の溝が埋まらないまま採決に移り、自民・明政ク、公明、無会派の合わせて12人が賛成、条例案は可決した。共産党、生活者ネットワーク、無会派の市原広子議員は反対。高橋前市長を支持していたが、セクハラ問題では追求にまわった太田久美子議員は「条例は必要だが、組合の声などを吸い上げてていねいにつくるべき」として退席した。
朝から議会を傍聴していた女性は、「市長の退職後に、加害者が市長だったことが判明したが、市民には真相がよく分からないまま。再発防止は必要だが、市民の意見を聴いてからでも遅くないのでは」とうんざりした表情で話していた。
議会終了後の会見で、山田議員は「条例が通り、新たなスタートが切れる。条例は万能でないが、今後は盛り込めなかったことを充実させていきたい」とほっとした表情で話した。
一方、共産党市議団は「今回のセクハラ問題は市政を揺るがす大問題で、市政の信頼をどう回復するかが大きな課題であるなか、市民の声も聴かず、1回の議会で審議するのはあまりにも拙速」と批判、「本格的な再発防止策を確立し、条例の不備を抜本的に正すため全力でがんばる」とのコメントを発表した。

2018-06-29 in 06)政治, a) 狛江市のニュース | Permalink

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