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2005年12 月11日 (日曜日)

川崎市が王禅寺のゴミ処理場を建て替え アセス準備書を縦覧

051211asesu1川崎市麻生区にあるゴミ処理施設「王禅寺処理センター」の老朽化に伴い同市が焼却施設などを新設する「仮称・リサイクルパークあさお建設事業」が、同市環境影響評価(アセスメント)条例の適用を受け、12月16日まで条例環境影響評価準備書の縦覧が麻生区役所など11カ所で行われている。

写真=麻生市民館で行われたアセス説明会

Photo 同センターは1967年に稼働、1986年に建物を残したたまま焼却炉を取り替え、現在、麻生区、多摩区、宮前区と高津区の一部の廃棄物を処理している。「リサイクルパークあさお」は、人口が増え続ける北部地域に焼却施設を新設するとともに新たに粗大ゴミとビンや缶、ペットボトルなど資源化施設を建設し、市全体としてのゴミ処理の効率化を図る。同市では、循環型社会に向けた今後の施策として、プラスチック類の分別やミックスペーパーの分別の取り組みを行い、現在4カ所あるゴミ処理施設を1カ所削減することを目ざすと説明している。(右図は土地利用計画図:クリックすると拡大します)

 2007年から稼働しながら工事 資源化施設も建設

計画によると、処理センターを稼働しながら工事を進めるため、工期は3期に分けて行われる。開発面積は、約5.5ヘクタールで、2007〜2008年度に現在稼働中のセンター南側の丘陵地を造成し、2007〜2011年度に焼却炉(日量450t・最大処理能力、以下同じ)とごみを鉄道輸送するための中継地(150t)を建設、2011〜2014年度に現処理施設を解体し跡地に粗大ごみ処理施設(55t)とびん(50t)、缶(30t)、ペットボトル(12t)のリサイクル施設と環境学習や情報発信を行うプラザ棟などを建設する。
各施設の規模は、ゴミ焼却施設は延べ床面積約27000平方mで高さ約35m、資源化処理施設は延べ床面積12000平方mで高さ16m。いずれも鉄骨鉄筋コンクリート造りで、資源化施設は地球温暖化予防のために屋上緑化を施す。プラザ棟は延べ床面積1900平方m高さ16m、煙突は鉄筋コンクリート造りで高さ100m。このほか、敷地の南側の「健康とふれあいの広場」は、工事事務所などに利用するためいったん壊し雨水調整池を地下化してその上にコナラ、イヌシデ、ケヤキなどの郷土種を中心に緑化して復元、ゲートボール場や広場を作る予定だ。温水プールなどがあるヨネッティ王禅寺はそのまま利用できる。完成後の緑地は約21000平方m。またゴミ焼却で発生するエネルギーを発電し施設内やヨネッティ王禅寺に供給、余剰電力は売電する。
同センター建て替えに当たり、市民からさまざまな意見が出ていたゴミ焼却施設の焼却炉は、従来型のストーカ式が採用され、そのことについても準備書で記述している。
関連記事=《寄稿》 リサイクルパークあさお ゴミ焼却炉選定について 

 大気、悪臭、生物など19項目について影響は少ないと予測

準備書では、大気、悪臭、水質、水象(湧水)、地形・地質、地盤(地下水位)、土壌汚染、植物、動物、緑の量、騒音、振動、景観、日照阻害など19項目について工事実施、完成後の予測を行っている。それによると、
(1)大気=二酸化硫黄、二酸化窒素、水禽などは環境保全目標を下回る、ダイオキシン類は目標値を下回る予測でさらにバグフィルタなどの公害防止設備を導入するなどの対策で生活環境保全に支障がない
(2)悪臭=ばい煙に伴う臭気は目標値を下回り、燃焼温度を900℃以上に維持するので悪臭の発生を防止する、ゴミ収集車両出入り繰りはエアカーテンなどを設置するので、現況と変わらない
(3)水象=造成工事で計画地内の一部の湧水が消失するが、掘削工事で止水性の高い土留壁を用いるので周辺の湧水に影響を及ぼすことはない。計画地内の湧水は水生生物の生育地になったおらず利水状況がない。ゲンジボタルなどの重要な生息域の周辺の湧水についても、保存方法、有効利用について措置を講ずるので影響は及ぼさない
(4)植物=計画地内の表土を保全した郷土種による植栽を行う。保全するコナラ群落は林床管理を行う、新たな実地植物の生育基盤を創出するなどの環境保全の措置を講ずる。注目される種のタマノカンアオイは移植を行い個体を保全する措置を講ずる。
(5)動物=計画地内の表土を保全した郷土種による植栽を行う。新たに形成する修景池など湿地環境を、鳥類、両生類、湿地性昆虫類の生息基盤になるよう配慮する、湿地生態系を創出するなど環境保全のための措置を講ずるので、現況と同様の食物連鎖が保たれ、適切な回復育成を図ることができる。特筆すべきゴイサギ、コサギ、アオゲラなどは消失するコナラ群落が営巣環境の主たる餌場となっていないので造成などによる影響は小さい。ニホンアカガエルなどは棲息環境の一部が消失すると予測するが、表土を保全した上に郷土種による植栽を行い新たな生育環境を創出するので適切な保全が図れる。
(6)緑の量=供用時計画緑肥は率は50.0%で、現況の緑被率41.5%を上回る
などと、全体に影響は少ないと評価している。
また、事後調査については、大気、植物、動物、騒音、地域交通など7項目を工事中や供用時(植物は3年後、動物は5年後)に行うと記述している。

 川崎市、横浜市、町田市の17カ所で縦覧

準備書の縦覧は、12月16日まで川崎市環境局環境評価室、麻生・多摩・宮前の各区役所、生田・向丘出張所、ヨネッティ王禅寺のほか、横浜市役所環境創造局環境保全部環境影響評価課、横浜市青葉区役所、町田市三輪センター・境川クリーンセンターで午前8時30分から午後5時(横浜市は8時45分〜5時15分)まで行われている。準備書に対する意見書は、川崎市環境局環境評価室(〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1)で16日まで(消印有効)受け付ける。問い合わせは電話044(200)2156同課環境評価室。

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