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2004-09-14

昇格のプレッシャー

試合終了のホイッスルとともに、ピッチの中央にうつろな表情で座り込んだフロンターレの箕輪選手。9月11日、勝てば5年ぶりにJ1復帰というこの試合にかける選手たちすべての気持ちを代弁していた。

数分後、顔を赤くした阿部孝夫川崎市長は「くやしい」を連発しながらも「勝てるというおごりがあったように感じる。来期J1で闘うためのいい材料になった」と語り「まだ時間はたっぷりある。次に勝てば、昇格と優勝が一緒になる」と最後は明るく締めくくった。
会見場に現れた指揮官の関塚隆監督は、すでに気持ちを切り替えていたかのように「イヤー、なかなか勝たしてもらえないのものですね」とさわやかに切り出した。昇格の堅さが見られたという質問には「スタートの堅さはいつものこと。早い時間帯で警戒していたセットプレーで点をとられ、ゲームプランが展開できなかった。選手達は最後まで点を取りに行く姿勢を失わなかった」と昇格のプレシャーを否定し、選手をかばった。
この日は、フロントの努力のかいあって、昇格の瞬間を見ようと今期初の2万人の観客が集まった。史上最速の昇格は喜ばしいことで、次節に期待したい。今後は、来期に繋がる試合を展開してもらい、消化試合となる残りの試合にも多くの観客が集まってほしい。(ネコ)

Posted by 安永能美 on 2004-09-14 at 12:00 午前 | Permalink | コメント (0) | トラックバック

2004-09-12

埋蔵文化財の公開

埋蔵文化財の発掘現場に取材に行った。
埋蔵文化財の調査は、普通、その場所が開発される時に行われる。出土品を取り出し写真や文書で記録を残すのが一般的で、余程の発見や学術調査でない限り、その遺跡は壊される。

9月10日に訪ねた現場もこうした例に違わず、マンションを建設するための緊急発掘で、古墳の周溝が出てきた。7月に行われた一次調査では、伝えられていた年代よりも約一世紀遡る5世紀半ばと推定され、市民の間でにわかに関心が高まっている。こうしたことから、急きょ二次調査も行われ、一般公開されることになった。
周溝には埴輪と思える土器片がかなり出土していた。専門家の説明によると、一般的には、墓をまつる墳丘のまわりに置かれた埴輪が倒れ落ち、墳丘の裾野の部分に土器辺が散らばることが多いという。その現場は、土器片が墳丘から遠い物ほど低い位置にあり、説明がよくわかった。
今回の公開は、遺跡を埋め戻す前日に設定されたため、当日は周溝だけしか見られない。工事日程が最優先の緊急発掘だということは理解できるが、1500年以上前の人が作ったものを見る機会はそんなに多くはない。せっかく市民要望を受け入れて公開するなら、先人たちの生活が理解できる出土品が残っている時に行うのが、「壊される」遺跡を作った人々へのせめてもの思いやりではないだろうか?(ネコ)

Posted by 安永能美 on 2004-09-12 at 11:50 午後 | Permalink | コメント (0) | トラックバック

2004-09-10

スロープも訓練の場?

ことし市制80周年を迎える川崎市の本庁舎は、関東大震災以後の大正時代に建築された建物で、正面玄関は観音開きの大きな扉、天井も高くどっしりとしている。1階フロアは、入り口のアプローチから階段を数段昇る作りになっており、そこに小さなスロープがある。10数年前、体調を崩し任期途中で退任した伊藤三郎元市長の時代に、車イスで通う市長のために階段の一部を直して作られたものだが、古い建物のため完全なバリアフリー化はむずかしく、勾配が急だ。

9日、パラリンピックに出場する川崎市在住の3選手が阿部市長を表敬訪問、その様子を取材した。3人とも車イス生活者で、うち2人は介添えがいなかった。取材会場の2階から降りた時、エレベーターで1階に下りた選手に出会った。エレベーターは、階段1段分ほど高くなった場所に設置されており、滑る止めがついた短いスロープがあったが、3人とも一気に下りた。廊下の壁に当たるのではとハラハラするほどのスピードだったが、その様子は、はつらつとスピードを楽しんでいるようにも見えた。声をかけようかと思ったとき、入り口に常駐している庁舎を管理する職員が出てきて介助を申し出たが、車椅子バスケットに出場する一人の選手がその申し出を断り、自分で車イスの後輪を高く上げてスピードを殺し、後ろ向きで難なく降りた。その顔はいたずらっぽく、まるで日常のちょっとした困難を、競技するための筋力を鍛える楽しいチャレンジととらえているような明るさだった。(ネコ)

Posted by 安永能美 on 2004-09-10 at 11:02 午後 | Permalink | コメント (0) | トラックバック

2004-09-05

小さなニンジン

記録的な暑さが続いた8月、仕事で狛江市内の直販農家を何軒も訪ねた。9月以降に販売する作物を聞き取り調査したが、暑さと小雨による影響で畑が乾ききり、まいたタネが発芽しない、植える時期のメドが立たないなど、天候の影響を大きく受けている話をあちこちで聞いた。

トマトやナスの葉が枯れているのが目立ち、サトイモの大きな葉も暑さにあえいでいた。8月後半台風の影響で少しまとまった雨が降ったが、乾ききった大地を潤すまでにはいたらず、土の表面が少し湿った程度という。秋・冬野菜の出来が不安になる。
5日の午前、農家から直接指導を受け、共同作業で年間10数種類の野菜を作っている農園に出かけた。先週の日曜に秋・冬物野菜のタネまきや定植作業を行うことになっていたが、雨で中止。
久しぶりの畑には、7月に3ウネでタネまきしたニンジンが、1ウネだけ2、3カ所で固まって葉を茂らせており、間引きすることになった。畑を日常管理をしている園主に発芽したことを感謝しながら、小指ほどに育った小さなニンジンを引き抜いたが、思わず「良く育ったね」と声をかけてしまった。(ネコ)

Posted by 安永能美 on 2004-09-05 at 11:58 午後 | Permalink | コメント (0) | トラックバック

2004-09-04

やさしい職員

川崎市のフルーツパークで行われたナシとブドウの品評会の取材に出かけた。
例年は、午前中に行われる審査を取材、講評を聞いて取材を終えるのだが、ことしは午後、一般公開の後に即売が行われるように変更されたため、毎年人気の即売の様子も取材することにした。

品評会会場の上の展望室には、審査前から即売目当ての市民が並びはじめ、正午過ぎには100人近くになっていた。ウィークデイのため、熟年夫婦やお年寄りが多い。午後2時半からの即売は、混乱を避けるため、10人単位で展望室から階段に誘導しさらにそのなかから2人ずつ会場に入れた。
即売するナシは12個の箱入りで、種類によって重さは異なるものの6〜7キロ以上ある。市民の多くは、3時間以上待ち、みなうれしそうに重いナシを持ち運んでいた。
取材を終えて帰る時のこと、前方にナシの箱を抱えて園内の階段を歩いているお年寄りが何組かいた。そこにちょうど、会場の片付けをしている若い職員2人が通りかかり、お年寄りに声をかけ、駐車場までナシを運び、車で来ていない人にはタクシーを呼ぶ手配をした。
フルーツパークは、週2回園内で育成した果実を販売しており、職員間にサービス精神が浸透しているのかもしれないが、その声のかけ方や手配の仕方がさりげなく、見とれてしまった。(ネコ)

Posted by 安永能美 on 2004-09-04 at 11:03 午後 | Permalink | コメント (0) | トラックバック